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マグネシウムとタウリンは長生きの秘訣(横田 邦信)      

私のおススメ健康法
 和食、洋食を問わず、一般に朝食は重要な栄養素を豊富に含むので、朝食は抜かない食習慣(1日3食)を基本にします。そして朝食をしっかり(少し時間を掛けて良く噛む)取り、3食とも主食、主菜・副菜をバランス良く揃えます。また、少なくとも朝食には具沢山の汁物と果物と乳製品(ヨーグルト、牛乳やチーズ)を加えるのが理想です(図1)。

図1 食事のバランス

 主食は精白米を減らして大麦・雑穀(洋食ならオートミールやシリアルなど全粒穀物あるいは全粒粉パンなど)がお勧めです。主食は重要なエネルギー源になるので毎食軽く1膳分は取ります。麺類はうどん、スパゲッティ、ラーメンよりは蕎麦がお勧めです。蕎麦にはビタミンB群が豊富で、動脈硬化予防のルチンも多く含まれています。さらに、蕎麦は、後述するマグネシウムやカリウム、鉄を他の穀類より豊富に含みます。

 主菜は出来るだけ種類を多く取りましょう。フレイルやサルコペニアの予防には良質なたんぱく質が重要です。卵は毎日1個以上を好きな料理法で頂きましょう。また、動物性たんぱく質は肉類より魚(魚介)類でしっかり取るのがお勧めです。なお、主菜としての肉類は週に2~3回程度とし、基本は魚中心に。植物性たんぱく質の摂取源として大豆製品は便利なので出来るだけ取るよう心掛けて下さい。副菜のサラダはワカメなどの海藻類を含めた数種類以上、特に緑色野菜(緑の濃い野菜はマグネシムを多く含みます)を沢山頂きましょう。また、野菜サラダは2皿/日以上を目指して下さい。ドレッシングは少量の粗塩や胡椒を混ぜたオリーブオイルなどを少量。あるいは塩分の少ない醤油を少々掛けるのも良いでしょう。なお、副菜のキノコ類も是非意識して取って下さい。

 調理法は、様々な食材を、揚げ物や炒め物はできるだけ控えて、生のまま、あるいは煮る、蒸す、焼く、茹でるなどで頂きましょう。なお、揚げ物は週に2~3品程度。しかし頂きたい時は無理に控える必要はありません。 


健康で長生きの秘訣
 長生きのための栄養素が2つ知られています。それはマグネシウムとタウリンです。マグネシウムはその摂取不足が動脈硬化リスクを高めます。2019年度の厚労省の調査(30~49歳)では、マグネシウムは男性約160mg/日、女性約80mg/日が慢性的に不足しています(表1)。したがってマグネシウムを多く含む食品をしっかり取ることが動脈硬化予防にとても重要です。

表1 マグネシウムの日本人の食事摂取基準と推定摂取量の比較
 男女30~49歳、摂取量 平均値(mg/日)


 図2は私が考案したマグネシウムの多い食品の語呂合わせした標語です。覚えておくと便利です。“そばのひ孫と孫は優しい子かい?納得!”です。マグネシウムを多く含む食材は他にも種々ありますが、概して伝統的な和の食材に多いと気が付かれたかと思います。したがって1品に偏らずマグネシウムの多い食材を数多く取りましょう。

図2 マグネシウムの多い食品の上手な摂り方と覚え方

 なお、大麦・雑穀の摂取量が戦後激減した辺りより2型糖尿病の有病率が増え始めたことから、精白米をなるべく減らして大麦や雑穀を意識して取りましょう(図3)。ちなみにタウリンは貝類やイカ、タコなどの軟体類に多く含まれています。 

上図データの出典
エネルギー、脂肪、大麦・雑穀等は厚生労働省 「国民健康・栄養調査」[昭和21(1946)年~平成29(2019)年]から引用作図
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

糖尿病推定有病率はGoto Y. Tohoku Journal of Experimental Medicine(1983)および厚生労働省の糖尿病実態調査報告(1997、2002、2006、2007、2012、2016)から引用作図

総務省統計局「人口推計 総人口男女20歳以上(当該年の10月1日現在)」の性・年齢階級別の全国人口
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2016np/index.htm

出典元:MAG21研究会HP(http://mag21.jp)から引用

図3 わが国における糖尿病推定有病率と生活環境の推移(1946~2019年)


 ところで、料理に当たっては、減塩を心掛けることは大切ですが、塩分6g/日以下の過度な減塩は、料理を美味しく仕上げ難くなる上に、塩分欠乏気味になりえるので注意が必要です。粗塩は精製塩に比べてマグネシウムとカリウムが比較的豊富に含まれ、塩分の排泄作用が期待できますが、中でもナトリウムのより少ない粗塩を選びましょう。また、粗塩中のマグネシウムは食材の旨味成分を引き出すので料理が美味しくなります。   

 和の食材の種類はとても豊富ですが、毎日1品は納豆、糠漬け、チーズやヨーグルトなどの発酵食品を取り入れると共に酢物も積極的に取り入れて下さい。さらに、調理にもできるだけ発酵食品(味噌、醤油、鰹節、味醂など)を用いましょう。


 和食は、概して塩分が多めになりがちですが、それ以外の面では健康で長生きに繋がる栄養素が豊富で素晴らしい料理と言えます。なお、“酒は百薬の長”と称されますので、お嫌いでなければ休肝日を必ず設けて少量飲まれる習慣も良いでしょう。以上の事柄も参考に、工夫して美味しくお料理を頂くことが大事です。

筆者

東京慈恵会医科大学 客員教授
医学博士 横田邦信

自己紹介

必須・主要ミネラルのひとつであるマグネシウム(Mg:鎂)の慢性的摂取不足が、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の発症に深く関わっているという観点から長年に亘り主に臨床的研究に従事し、医学的にそれらの発症のメカニズムや治療法を説き、さらにマグネシウムの重要性の情報発信(Dr横田邦信のオフィシャルサイト:https://dr-mag21.jp/、MAG研究会:http://mag21.jp/)と啓発活動を行っています。 

患者様とどのように接しているか

患者さんの立場に立ち、患者さんのそばに寄り添い、同じ目線で“患者さんの訴えに耳を傾ける(Listen to the patients)”。また、“医の心”を持って患者さんに接するように常に心掛けています。

経歴

昭和26年東京都出身、昭和53年東京慈恵会医科大学卒業後、国立東京第二病院(現独立法人国立病院機構東京医療センター)にて研修、昭和55年東京慈恵会医科大学阿部内科入局。昭和59年同大学大学院卒業、昭和60年富士市立中央病院内科医長、横須賀北部共済病院内科部長を経て、平成8年東京慈恵会医科大学内科学講師。同大学附属病院糖尿病・代謝・内分泌内科診療医長、同大学医療保険指導室兼務。同年より東京都社会保険診療報酬支払基金(通称:支払基金)専任(現主任)審査委員兼務。平成17年東京慈恵会医科大学准教授、東京都社会保険診療報酬支払基金審査委員会再審査部会長。平成18年 東京慈恵会医科大学医療保険指導室長に就任。平成22年東京慈恵会医科大学教授(大学直属)、平成29年同大学定年退任後、客員教授。同大学附属病院客員診療医長。社会保険診療報酬支払基金東京支部医療顧問。令和5年支払基金の組織改革に伴い社会保険診療報酬支払基金(東京都社会保険診療報酬請求書審査委員会)審査調整役に名称変更、現在に至る。
専門は臨床糖尿病学、循環器内科学(特に高血圧)。日本糖尿病学会功労学術評議員、同学会糖尿病専門医、日本生活習慣病予防協会理事、日本医師会認定産業医、慈恵医師会理事、関東信越厚生局東京事務所保険指導医。

好きな言葉

病気を診ずして病人を診よ

ミールタイム パワーアップ食の活用方法

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