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インスリン不全症の早期検出と解消に役立つ標準食の意義と生活習慣病対策への期待(原納 優)

表1 インスリン不全症

インスリンの作用

 インスリンには多くの作用があり、血糖・脂肪(高脂血症)・血圧調節以外に食欲、体型、脂肪組織の分布、筋・骨の維持増強、認知症にも関与します。大別すると良(善玉)作用の低下と代償不良(悪玉)作用(分泌)の過剰症です。これを知るには、標準食が最も有効で、食後2時間の血糖が200mg/dl以上が糖尿病、140~200mg/dlが耐糖能異常(IGT)と国際的に認可(75g糖質消化物)されています(図1)。

図1 標準食(トンカツ)75g糖質(29g脂肪)

高インスリン血症の基準として空腹時8~12μU/ml;血糖126mg/dl未満、食後2h値、22μU/ml 以上;血糖 140未満を採用しましたが、将来、インスリンXPG 値が高インスリン血症の基準に有効と想定します。液状ブドウ糖は健保採用されてますが、ブドウ糖を3割含み、一過性過血糖、それに伴う高インスリン血症があり、標準食に比し不正確です。インスリン低値も分泌・作用低下の病態把握に、Cペプタイドを含め血中濃度測定は意義深いです。

インスリン分泌(初期)低下(低イ)か、抵抗性(インスリンの効きが落ちる)が要因で糖利用が減り、肝臓での糖産生が増え、高血糖とHbA1cの高値となります。糖の流れ以外の良作用は下記a~fにまとめます。

aアミノ酸からのたんぱく合成の促進(肝臓でのアルブミン合成と血中への放出、筋・骨組成の合成と維持

b肝での脂肪・コレステロール産生増加作用(適度の増加は良性、過剰増加は不良作用)と貯蔵(皮下・内臓脂肪組織)

cリポ蛋白リパーゼ;脂肪組織で、肝臓で作った脂肪(中性脂肪)を受け取り貯蔵(インスリンが活性化)に必要です。脂肪組織、乳房、臀部(育児の子宮の保護)などでの女性らしさに貢献。この酵素は、血中にも転送され、食事由来の脂肪、肝で作った脂肪粒子に働き中性脂肪を分解し比重が重くコレステロールに富むLDLに変換します。この良作用が低下すると、上記変換が低下し、超低比重リポ蛋白粒子が溜まり、高TG血症の一因にもなります。

dホルモン感受性リパーゼ(脂肪組織)は、エネルギーとして、脂肪が必要な空腹時・運動時に活性化され、脂肪を分解し、脂肪酸(1~3個)とグリセロールにします。インスリンは、これを抑制し、1型糖尿病などで、作用低下が強いと、脂肪酸が4個のケトン体となり、酸性(アシドーシス)が強いと死に至ります。肥満ではインスリン作用が強く脂肪分解は抑えられ、脂肪貯留が継続します。エネルギー源として、脂肪酸が必要なときは、インスリンが低下し、脂肪が分解され対応します。

e (悪玉コレステロール)は、その受容体活性で処理されますが、インスリン良作用は、これを維持し活性化します。良作用の低下はLDLの増加に導きます。

f 内皮細胞機能に重要なNO産生にインスリン良作用が活性化します。肥満・高血圧・糖尿病などでコロナに罹り易いのは、インスリン良作用の活性が落ちるのが要因です。喫煙で障害され、NO産生低下も健康に悪い理由です。この作用低下は、インスリン分泌の低下・遅延でも起こりますが、“抵抗性”の現象があり、生活習慣病で問題になるのは、“インスリン良作用の減少・低下”です。その仕組みは、受容体の数と活性の減少とその信号の伝達障害です。特に伝導障害が重要で、多くの生活習慣の乱れで(運動不足・脂肪組織が増え、悪玉サイトカイン;TNH-α、IL6など、が分泌増加し、上記伝導障害を起こします)。
インスリンが多く出ると、down regulation で受容体数が減じ、作用が低下し、これがいわゆる抵抗性の本体です。 高血糖自体が、代謝を悪くし、細小血管症害(神経症害・腎症・網膜症)の発症と進展の要因にもなります。悪化すると立ち眩み、しびれ、尿毒症(腎透析)、白内障・失明へ進行しますので、血糖Control が必要です。合併症として、進展防止が重要ですが、インスリン作用の適正発現下に高血糖・HbA1c の適正化が必要です。

健康維持増進7H習慣の達成による生活習慣病克服

表5 健康維持・増進の7H(Healthy Habits)

適正体型は、インスリン良作用を邪魔する内臓脂肪・皮下脂肪の過剰を解消します。
BMI;体重kg÷身長m2 ≦24
, ウエスト;男、≦85、女 ≦80cm未満が望ましい基準です。筋におけるインスリン良作用、糖利用率はBMI、ウエストと逆比例し千名以上の肥満を含む方々の成績からの適正値です。筋・脂肪細胞で糖が細胞膜を通る際に、インスリン作用が必要ですが、活動と運動は、不要にします。

脂肪(魚の脂肪はオメガ3で肉の脂肪より血栓ができにくい)の多い食事は、インスリン良作用を低下、たんぱく質不足では筋・骨の維持・増強不可、1日糖質250gは脳神経に必要、野菜・果物はビタミン・ミネラル補給に有意義でバランスが重要です。
飲酒は、過剰エネルギー摂取(1g;7kcal)に留意し、嗜み、総合して、適正インスリン作用の発現と維持を目標とします。喫煙は発がん性があり、健康維持の基本である内皮細胞を障害するので、意味なし、止めましょう。

健康7H習慣を達成し、脂肪を減らし、活発活動になるとインスリン良作用が活性化し、代償悪玉過剰症が未発現となるので、服薬が減り、生活習慣病が軽減し健康長寿へと向かいます。世界記録の118歳の更新を草笛会(ハラノ医院、食事運動生活習慣をより良くする会)、今回のWEBサイト閲覧の方から出しましょう。

共同研究者(謝辞) 株式会社ニチダン:糸川由比子、山川大美、小笠原力一、児成会ハラノ医院、生活習慣病センター:中平実智豊、西山寛子、原納晶

筆者

児成会ハラノ医院
生活習慣病センター
所長
ニチダン栄養研究所所長
産業医・医療顧問 原納 優

自己紹介

箕面医新稲、6丁目生協前で、火、木以外診療(ハラノ医院、肥満・メタボ・糖尿病・生習病)しています。基本の食・運動・生活習慣の改インスリン良(善玉)作用低下の活性化代償不良(悪玉)過剰症の解消を管理栄養士様(月1回)とご指導、健康長寿を皆様と共に達成します。ゴルフは今年中に、ハーフ50未満達成を、100名山は、多くを登ったので、今後は100低山を!家内と未訪問の世界旅行へ! 

ご経歴と現職

1963~1967年 大阪大学医学部栄養学部・蛋白研代謝部門で大学院(田中武彦助教授の指導でインスリンが肝で糖の利用と新成の律速酵素としてピルビン酸キナーセを増減(調節)、筋では異酵素でイに不応を報告。
1967~1972年 阪大第一内科入局、米国留学(ケースウエスターンリザーブ大学内科)時患者診療下に培養肝細胞で、脂肪酸酸化酵素(CPT-1)がグルカゴンで活性化、インスリンで抑制を報告
1972~1978年 大阪大学1内助手~1987 滋賀医大助教授
人でのインスリン作用をソマトスタチン使用のSSPG(Reavenら)法を報告、肥満・メタボ・インスリン抵抗性症候群のインスリン抵抗性を報告。
1987~2000年 国立循環器病研究センター代謝内科部長として、高血圧・狭心症・アテロ-ム血栓性脳梗塞にインスリン抵抗性を報告

~現在(2024);
糖尿病大血管障害検証報告会(代表世話人;総括)
2000~2005年 甲子園大学栄養学部教授(保健管理センター所長)
~済生会千里病院非常勤医師;2017;4月まで)
2005 4月~現在 児成会ハラノ医院生習センター所長、
2007年4月~2023, 3 月;大阪保健医療大学(夜間客員教授;理学・作業療法士に内科講義
2011年~現在;(Cookie t 研究会)Cookie t・標準食研究会 代表世話人
2007年10月~現在 ニチダン、産業医・医療顧問・栄養研究所長
食事運動生活習慣をより良くする会(第11回;2023)代表世話人

好きな言葉

最善を尽くそう!無駄は避けよう!人の良きところとりいれ、いまいちの所は避けよう!

ミールタイム パワーアップ食の活用方法

健康に役立つ美味な食事が種々紹介、積極的に取り入れましょう。特にたんぱく(魚;大豆)に富み、野菜・ミネラル・ビタミンを多く。その際、なぜか、仕組み、理由を考えてください、インスリンの働きをよくする食事を(脂肪を貯めない)、悪い過剰作用を出させず、活発活動で、筋と骨を鍛えよう!!