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“動ける体”を守る食習慣(富田 益臣)

健康で長生きするために大切なのは、「動ける体」を維持することです。
年齢を重ねると、「疲れやすくなった」「歩くのがおっくうになった」「外出が減った」と感じる方が増えてきます。実は、この“動けなくなること”が、健康寿命を縮める大きな原因になります。

私は日頃、糖尿病や肥満症、足のトラブルを抱える患者さんを多く診療しています。その中で強く感じるのは、「食事」と「運動」、そして「足の健康」は、すべてつながっているということです。
たとえば、食事量が減ると筋肉が落ち、歩く力が低下します。すると活動量が減り、さらに筋力が低下するという悪循環に入ってしまいます。特に高齢者では、“食べ過ぎ”だけではなく、“食べなさすぎ”にも注意が必要です。

最近では、「フレイル」や「サルコペニア」という言葉を耳にする機会も増えました。これは、加齢に伴って筋力や体力が低下した状態を指します。進行すると転倒や骨折、寝たきりにつながることもあります。

その予防のために大切なのが、毎日の食事です。
特に重要なのは、筋肉の材料となるたんぱく質をしっかり摂ることです。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを、毎日の食事に取り入れることが大切です。また、朝食を抜かないことも重要です。朝に食べることで体が活動モードに切り替わり、筋肉を維持しやすくなります。

一方で、糖尿病や肥満症の方では、「食べ方」にも工夫が必要です。
私は患者さんに、「極端な我慢は長続きしません」とお話ししています。大切なのは、“完璧”を目指すことではなく、“続けられること”です。

たとえば、
・甘い飲み物を減らす
・夜遅い食事を控える
・野菜から先に食べる
・よく噛んでゆっくり食べる

こうした小さな積み重ねが、将来の健康につながっていきます。

また、私は「足を診ること」をとても大切にしています。
足には、その人の健康状態が現れます。特に糖尿病のある方は、痛みを感じにくくなっていることがあります。毎日足を見て、小さな傷や靴ずれがないか確認する習慣をつけることも大切です。歩き方、靴、足の変形、タコや爪の異常などをみることで、筋力低下や血流障害、糖尿病の悪化に気づくことがあります。

「最近歩くのが遅くなった」「つまずきやすい」「外に出るのが減った」という変化は、体からの大切なサインかもしれません。

健康のためには、特別なことをする必要はありません。
毎日しっかり食べること。少しでも歩くこと。無理をしすぎないこと。そして、自分の足に関心を持つこと。
こうした日々の積み重ねが、“動ける体”を守ってくれます。
私はこれからも、「ただ長生きする」のではなく、「元気に動ける時間を延ばす」ことを大切にしながら、患者さんと向き合っていきたいと思っています。

筆者

医療法人社団青泉会 下北沢病院 糖尿病センター長 富田 益臣

自己紹介

糖尿病診療を基盤に、糖尿病の方の足病変予防、肥満症診療などを専門としております。

患者様とどのように接しているか

  • 「極端な我慢は長続きしません」と伝え、“続けられること”を大切にしている
  • 「ただ長生きする」のではなく、「元気に動ける時間を延ばす」ことを大切に患者さんと向き合っている

経歴

医療法人社団青泉会 下北沢病院 糖尿病センター長。
糖尿病専門医として、糖尿病・肥満症・足病変診療に従事。
「足から全身を診る」をテーマに、フットケアや歩行機能を重視した診療活動を行っております。

好きな言葉

「動ける体を守る」

ミールタイム パワーアップ食の活用方法

「“動ける体”を支える食事の一助に」
“動ける体”を支える、無理なく続ける食習慣づくり