友人と運動し、睡眠・食習慣を意識して、もっと健康的な生活を(古川 慎哉)
さまざまな研究から不健康な食習慣がさまざまな病気の発症や悪化に関連していることが明らかにされてきました。肥満、糖尿病、高血圧などのいわゆる生活習慣病は「早食い」「朝ごはん欠食」「夜遅い食事」「夕食後の間食」「寝る前の食事」「ついお腹いっぱいになるまでたべる」と関連することが解明されてきました。最近ではいわゆる生活習慣病に加えて、消化器疾患との関連も解明されつつあります。また、食習慣と睡眠との関連についても解明されつつあり、相互的な関連性にも注目が集まっています。
睡眠が健康に与える影響
男性や若年者で多い習慣としては朝ごはん欠食が挙げられます。朝ごはん欠食は運動習慣や喫煙状況などとも関連し、不健康な生活習慣が重複することが研究で示されています。また、さまざまな治療薬は朝1回の内服が多く、内服忘れにも関連していることが分かっています。朝ごはん欠食は短時間睡眠と関連し、短時間睡眠の方に多い食習慣です。睡眠が健康に与える影響は近年注目されてきました。睡眠環境については「眠たくなってからベットに入る」「寝酒をひかえる」「適切な室温」などが睡眠時間や質に関連することが分かってきました。日本人の睡眠時間は国際的な調査では短時間睡眠の方が多いことが分かっています。一般的に、睡眠は年を重ねるごとに短くなるため、特に若年者での睡眠時間が短いことは注意すべき点です。短時間睡眠があると、同時に血糖を下げるインスリンの効果が減弱し、肥満の頻度が高まり、糖尿病の発症リスクが高まることが知られています。また、同時にうつ病などの関連することも知られています。つまり、とくに若年者ではしっかりと睡眠時間を確保し、朝を迎えて健康的な食事をしてから生活をスタートすることが大切です。
一方で、加齢に伴ってからは、睡眠中の排尿回数が増加することが大きな問題となることが知られています。塩分摂取が多いと夜間の尿量が多くなり、その結果として夜間頻尿をもたらし睡眠の質が著しく低下します。睡眠の質が低下することで、日中に眠気などがもたらし、一日中その影響を受ける可能性も示唆されています。1日を元気に過ごすためにも、塩分の過剰摂取は控えたいものです。
運動することは睡眠の質を高めます。夜間頻尿も夕方に30分程度運動することで、排尿回数が減少いたします。とくに運動については、一人で運動するよりも友人や集団で運動すると、その健康効果がより高いことが日本で報告されています。ぜひ、散歩などの運動もご友人を誘って、楽しく継続をしていきましょう。
食習慣と睡眠
最近では食習慣がいわゆる生活習慣病に加えて、胃腸疾患と関連することが注目されてきました。胸やけや胸部の不快感などを引き起こす胃食道逆流症は我が国でも以前より頻度が高まっていますが、「寝る前の食事」が関連し、薬の効果を減弱するようです。胸やけがある方は寝る前の食事は控えるべきかもしれません。機能性胃腸障害は内視鏡検査等では異常がないものの「胃もたれ」「食欲不振」「腹部膨満感」など胃腸症状をもたらす疾患ですが、我々の調査では不健康な食習慣が重複することでその頻度が高まるようです。原因不明の難治性疾患である潰瘍性大腸炎も不健康な食習慣が重複すると、治療効果が減弱していました。また、睡眠が機能性胃腸障害や潰瘍性大腸炎の治療効果にも関連しているようです。
最後に
以上のように睡眠や食習慣がさまざまな病気との関連があることが解明されつつあります。ありきたりかもしれませんが、適切な睡眠を確保して、1日を朝ごはんからスタートし、とくにゆっくりと食事を楽しみ、散歩の際にはご友人と一緒に始めることから健康維持をしてみてはいかがでしょうか。
筆者
自己紹介
脂肪肝、糖尿病を中心に診療をしております。現在は大学職員や学生の健康管理にも従事しております。
患者様とどのように接しているか
できる限り食事の楽しみを残して、一緒により良い治療、患者さんにとってよりよい人生が送れるようにしたいと考えるようにしています。
経歴と職歴
平成 9年5月 愛媛大学医学部附属病院 第3内科 研修医
平成10年6月 済生会松山病院 内科 医員
平成12年6月 宇和島社会保険病院 内科 医員
平成17年4月 愛媛大学医学部附属病院 第3内科 医員
平成18年1月 愛媛大学医学部附属病院 第3内科 助教
平成21年7月 愛媛大学医学部附属病院 第3内科 講師
平成25年2月 愛媛大学大学院医学系研究科
公衆衛生・健康医学講座 准教授
平成31年4月 愛媛大学大学院医学系研究科
地域医療学講座 准教授
令和 2年4月 愛媛大学 総合健康センター 教授
現在に至る
好きな言葉
人生塞翁が馬
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