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朝ごはんがカラダづくりを助ける?(松田 優樹)

たんぱく質のタイミングと筋肉量の密接な関係

 皆さんは「サルコペニア」という言葉を聞いたことがありますか?これは、加齢によって筋肉量が減少し、筋力が低下する状態を指します。例えば、階段を上るのが難しくなったり、ちょっとしたことで転びやすくなったりするかもしれません。筋肉量が減ると転倒や骨折のリスクが高まり、最悪の場合は寝たきりになることもあります。

筋肉を維持するためには、たんぱく質の摂取が非常に重要です。たんぱく質は筋肉の材料となり、筋肉の合成を促進するホルモンの分泌を助けます。しかし、高齢になると筋肉の合成能力が低下するため、意識的にたんぱく質を摂取する必要があります。では、どのように効果的にたんぱく質を摂ることができるのでしょうか?

朝食でたんぱく質をしっかり摂ろう!

 研究によると、朝食でたんぱく質を多く摂っていたグループは、サルコペニアのリスクが低いことが明らかになりました。具体的には、たんぱく質の総摂取量に占める朝食のたんぱく質の割合が高いほど、筋肉量と握力が向上することが示されています。
また、別の研究では、朝食にミルク由来のたんぱく質を12週間摂取したグループは、夕食に摂取したグループよりも筋肉量が増加しました。これらの結果から、朝食でのたんぱく質摂取が特に効果的であることが分かります。

なぜ朝食のたんぱく質が効果的なの?

 朝食でたんぱく質を摂ることで、筋肉の合成を促すシグナルが送られ、筋肉量が増えやすくなります。また、夜間の睡眠中に筋肉の分解が進むため、朝食でたんぱく質を補給することで分解を抑制する効果も期待できます。

おすすめのたんぱく質食品

 朝食で手軽にたんぱく質を摂取できる食品としては、以下のようなものがあります:

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 納豆
  • 豆腐
  • ツナ
  • 鶏肉
  • 魚肉ソーセージ

これらの食品を朝ごはんに取り入れることはいかがでしょうか?また、たんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルも豊富な食品を一緒に摂取すると、より効果的です。

植物性たんぱく質も積極的に!

 近年、植物性たんぱく質の摂取もサルコペニア予防に効果的であることが注目されています。大豆製品やナッツ、豆類など、植物性たんぱく質も積極的に摂取しましょう。これにより、動物性たんぱく質だけに頼らず、バランスの取れたたんぱく質摂取が可能になります。

高脂肪・高カロリーは控えめに

 たんぱく質の摂取量が多くても、高脂肪・高カロリーの食生活はサルコペニアのリスクを高める可能性があります。脂肪や糖分の過剰摂取は、筋肉量の減少や炎症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

継続は力なり

 たんぱく質摂取や運動を続けることで筋肉量を維持しやすくなりますが、継続的に行えるか不安ですよね。実際に私が患者さんに教えてもらった長続きするコツをご紹介します。

いかがでしたか?どれもコストもリスクも少ない方法です。ぜひ試してみてくださいね!

まとめ

 たんぱく質の摂取は筋肉の健康を維持するために非常に重要です。お年を召してくると、摂取量は少なくていいと思いがちですが、実はお年を召したからこそ、一層大切になってきます。サルコペニアを予防するために、毎食でのたんぱく質摂取を心がけ、たんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラル、食物繊維などバランスの取れた食生活を送りましょう。また、定期的な運動も筋肉の維持には欠かせません。食事と運動の両方を取り入れ、健康な生活を続けていってくださいね!
ただ、運動やタンパク質を制限しないといけない病態の方もいらっしゃるので持病をお持ちの方は実行前には主治医の先生にご相談くださいね!

参考文献
1.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8724572/
2.Hélio José Coelho-Junior et al. Int J Environ Res Public Health, 2022 Jul 18;19(14):8718

筆者

まつだ消化器糖尿病クリニック
副院長 松田 優樹

自己紹介

堺市北区で消化器と糖尿病のクリニックをしています。糖尿病専門医として、多くの糖尿病や高血圧症、脂質異常症の患者様の治療を行っています。それらの病気はもちろんのこと、病気がない方々も含め全ての人の健康や元気の土台となるのは食事だと強く思っています。

患者様とどのように接しているか

患者様の治療に関わることは、「医師に言われたからやる」ではなく、患者様自身が「したい」と思った方針を選ばれることが一番だと思います。
ですので、そのために必要な情報はしっかりとお伝えし、家族のように一緒に考えることを心がけて診療しております。

経歴と職歴

  • 2009 岡山大学医学部医学科卒業
  • 2009 大阪赤十字病院初期研修医
  • 2011 大阪赤十字病院糖尿病内分泌内科後期レジデント
  • 2014 大阪赤十字病院糖尿病内分泌内科医員
    • 大阪赤十字病院看護専門学校非常勤講師兼任
    • 日本赤十字社救護班医師兼任
  • 2017 まつだ消化器糖尿病クリニック副院長
  • 現在に至る

好きな言葉

  • 実るほど頭を垂れる稲穂かな
  • 人生万事塞翁が馬

ミールタイム パワーアップ食の活用方法

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