楽しく食べて歩いて話すことが健康の源(岡田 晋吾)
私も還暦を過ぎて老後の生活が考えるようになってきました。毎日の外来や在宅の現場で診ている高齢の患者さんたちを以前よりも身近に感じる年頃でもあります。お元気な高齢者の方々から学ぶことはたくさんあります。
患者さんから学ぶこと
病気を持ちながら元気に過ごす患者さんたちを見ていると食に対する興味を持って美味しく食べようとされている方が多いです。食事はもちろん身体機能を維持するための大切な栄養摂取法ですが、それだけでなく人生を楽しむために必要なものだと考えられている方が健康を維持されていると思います。
そして歩ける方はできるだけ歩いてクリニックに来ようとする方もお元気です。サルコペニア予防には筋力の維持が必要です。年を重ねて少しでもおっくうに思って今までできていたことをやらなくなるともう一生できなくなるという悪いサイクルに入ってしまいます。
またデイサービスに積極的に行ってカラオケをしたり麻雀をされている方も最後まで経口摂取が可能なことが多いです。人と話したりカラオケを歌うことは頭も使うし、喉の筋肉を鍛えることで嚥下機能も維持されるようです。お一人暮らしの方でも定期的にお子さんや友人に電話で話されていたり、リハビリに積極的に出かける方が食事も取れて元気な方が多いです。
私の実践
と言うことで先輩方からいろいろ学んだので、私も食事は人生を長く楽しむためにとても大切なものと考えています。できるだけ好きなものを食べながら野菜や卵など自分に必要なものをバランス良く摂るように努めています。
お酒も飲みますが週に2~3回と決めています。肝臓などに負担をかけずにできるだけ長く働いてもらわないと困りますからね。患者さんにももしお酒が好きなら長く美味しく飲むためには休肝日を必ず作ってたった一つの肝臓をいたわってくださいと話しています。
私は40歳台から高血圧の薬を飲んでいますからもちろん塩分の摂りすぎには気を付けています。そして体重計には毎日乗って変動を頭に入れることによって食事量の調節をして太りすぎ痩せすぎないように心がけています。
主にクリニックでの仕事なのであまり歩かないのですが、勤務後とかできるだけ時間を見つけてできるだけ1日1万歩を目指して歩いたりもしています。幸い、毎日いろいろな患者さんたちと話すので喉のリハビリは必要ないようですが、カラオケには行っています。
歌いながらうまくつばを飲み込むと言う行為は子供のころから当たり前にやってきていることですが、年齢を重ねて話をしなくなったり歌わなくなったりすると機能が早く落ちて来るようです。通勤や訪問診療の車の中で大きな声で歌うのもいいことでしょう。誰にも迷惑かけないで自分の機能維持練習になりますね。楽しみながら大切な機能を維持する方法を考えていきましょう。
食の大切さ
食は我々にとってはとても大切なことです。生まれた時には母乳ですが、それから離乳食を摂るようになり、食事を摂るようになって身体が作られます。仕事をしたり好きなスポーツをしたりしてきたのももちろん食のおかげです。
なにより家族や友人たちとの楽しい食事会は良い思い出であり活力の源です。在宅で患者さんを看取ることも多いですが、いろいろな話をしているうちに今まで食べた食の話をされている時はとても楽しそうです。食事についての話は必ずその料理にまつわる思い出が想起されるようです。
もうダメかなと思った患者さんが好きなお菓子や料理でまた元気になって十分な食事を摂れるようになることも経験します。食のマジックですね。きっと栄養に関わる皆さんはそのマジックを経験したり、実際にマジックを起こしているのではないかと思います。
かかりつけ医を持ちましょう
これからもできるだけ長く大切な家族や友人たちと美味しく楽しく食べ続けるために、自分の健康に気を付けていきたいと思います。食事は健康を維持するために必要不可欠ですが、心身ともに健康でいることが食事を楽しむためにはとても大切です。そのために歩いて話して、できれば歌っていきたいですね。私の健康法を取り入れていきましょう。
健康を維持するためには身近に信頼できるかかりつけ医を持つことをお勧めします。ぜひ美味しいものが好きなかかりつけ医を探してください。きっと良い先生でしょう。
筆者
自己紹介
元々消化器外科医でしたが20年ほど前に開業して外来で患者さんを看たり検査をしています。開業当初から在宅医療にも取り組み、希望される患者さんの家や施設での看取りも行っています。
患者さんとどのように接しているか
地域のかかりつけ医として患者さんに選ばれるように接しています。専門以外でもできるだけ相談に乗って専門医にうまくつなげていけるようにしています。
経歴
昭和61年 防衛医科大学校医学部卒業
同年 防衛医科大学第一外科入局
平成4年 公立昭和病院(東京都小平市)外科
平成10年 岩手医科大学第一外科入局
同年 函館五稜郭病院外科医長
平成15年1月 同外科科長
同7月 北美原クリニック開業
好きな言葉
一期一会
ミールタイム パワーアップ食の活用方法
外来や在宅で高齢の患者さんを診ていると、食事を作るのがおっくうになって同じものを繰り返し食べていたり、めんどくさく感じて欠食されたりする方がおられます。そのような時、パワーアップ食があるととても便利だと思います。
函館の患者さんはお子さんが札幌や東京におられて親のことを心配されているも多いです。そのような時パワーアップ食を食べている写真を送ればとても安心されるでしょう。かかりつけ医から鉄分やカルシウムを取ってくださいと言われてもなかなかそのようなメニューを思いつかないと思います。そのような方も簡単に対応できるでしょう。