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内科医がすすめる季節ごとの栄養管理(岡 浩子)

四季がはっきりと巡る日本では、気温や湿度が変わるたびに体にもさまざまなストレスがかかります。体調を整える基本は「栄養管理」ですが、季節の変化を見落とすと、免疫低下や疲労、代謝異常を招くこともあります。本記事では、内科医の視点から、春夏秋冬それぞれの季節で心がけたい栄養素や食事の実践ポイントをわかりやすく解説します。


1. 春 — 冬の疲れをリセットし、アレルギー対策を

冬から春への移行期は、気温上昇やアレルギー源の増加が体に負荷をかけます。また、冬に代謝を高めていた身体がそれを“余剰”と感じて疲労が残りやすかったり、冬期の日照不足によるビタミンD欠乏が免疫低下を招きやすい時期でもあります。

積極的に摂りたい栄養素と食材

  • ビタミンD(免疫調整): 干し椎茸、しらす、鮭、キノコ類
  • 鉄・葉酸・ビタミンB群(造血・代謝): 赤身肉、ほうれん草、納豆、カツオ
  • 抗酸化栄養素(活性酸素ケア): ベリー類、柑橘類、緑茶
  • 食物繊維・乳酸菌(腸内環境改善): さつまいも、ヨーグルト、発酵食品全般

実践ポイントと注意点

毎食「緑・赤黄・白」の野菜を取り入れ、週2〜3回は青魚を主菜に。腸管バリアを支える発酵食品の摂取はアレルギー反応の緩和に役立ちます。無理な断食などの極端なダイエットは免疫低下を招くため禁物です。

2. 夏 — 水分・電解質と熱ストレス対策

高温多湿な夏は、発汗により水分とともに電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われます。酸化ストレスも強まる上、食欲低下で麺類などに偏り、たんぱく質やビタミンが不足しがちです。

積極的に摂りたい栄養素と食材

  • 水分・電解質(体液バランス維持): スイカ、キュウリ、梅干し、味噌汁
  • ビタミンB群(疲労回復): 豚肉、鶏胸肉、玄米、豆類
  • ビタミンC・E(抗酸化・粘膜保護): パプリカ、トマト、緑黄色野菜
  • 良質たんぱく質(筋肉維持): 魚介、豆腐、大豆製品、卵

実践ポイントと注意点

「渇く前」のこまめな水分補給が鉄則です。冷たい麺類に偏らず、具沢山の汁物を添え水分とミネラルを補完。梅干し等の酸味で食欲を促しましょう。塩分補給は重要ですが、塩漬け食品の過剰摂取は血圧上昇を招くため適量に。冷たいものの摂りすぎによる胃腸機能低下にも注意が必要です。

3. 秋〜冬移行期 — 抵抗力・代謝・暖活の備え

寒暖差や乾燥、ウイルス流行が始まるこの時期は、夏に消耗したミネラルや代謝を整えつつ、冬に向けて「体温維持」を意識した食事が求められます。

積極的に摂りたい栄養素と食材

  • ビタミンA・β-カロテン(粘膜防御): にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー
  • 亜鉛・セレン(免疫・抗酸化): 牡蠣、サバ、エビ、ナッツ
  • 良質脂肪(体温維持・抗炎症): 青魚、アボカド、オリーブオイル

実践ポイントと注意点

温かいスープや鍋を毎食取り入れ、野菜と水分を同時に補給しましょう。生姜など体を温める食材の活用も推奨します。寒さで渇きを感じにくくなるため、白湯や温かいお茶の意識的な摂取が大切です。過剰な脂質摂取はメタボリスクを高めるため注意してください。

4. 冬 — 免疫持続と代謝強化

寒さ、乾燥、日照時間短縮、ウイルスの脅威が重なる冬本番。体はウイルスと闘うためにエネルギーを要し、免疫系も高負荷状態になります。

目的・効果特に意識したい栄養素おすすめの食材例
骨維持・免疫調整ビタミンD・カルシウム鮭、きのこ類、チーズ、小魚、牛乳
ウイルス防御抗酸化栄養素(C, E, セレン等)柑橘類、大根、緑黄色野菜、魚介類
免疫分子合成・筋肉維持良質タンパク質鶏・豚肉、豆腐、納豆、卵
腸内免疫維持食物繊維・発酵食品根菜類、漬物、味噌、オートミール

実践ポイントと注意点

鍋料理を主力に魚介や根菜、発酵食品をバランスよく摂取し、晴れた日の散歩でビタミンD合成を促すことも免疫維持に直結します。高カロリー食への偏りは体重増加を招き、鍋やスープは塩分過多になりやすいため、出汁やハーブで風味を補う工夫をしましょう。

まとめ:年間を通した栄養管理のポイント

  • 季節に応じた栄養戦略: 春はリセットとアレルギー対策、夏は水分補給、秋冬は代謝・免疫・体温維持を重視する。
  • 食材の多様性と色: 旬の野菜や魚介、豆類、発酵食品をローテーションし、食事の偏りを避ける。
  • 生活リズムとの連携: 栄養だけでなく、適度な運動、日光浴、休息(睡眠)をセットで行う。
  • 体のサインに耳を傾ける: 食欲低下や肌荒れは栄養不足の警告。無理な食事制限は避ける。

※基礎疾患がある方へ
高血圧、腎疾患、心疾患などがある場合は、ミネラルや塩分管理などの個別調整が必要です。医師や栄養士と連携し食事管理を行って下さい。

筆者

医療法人社団福美会ヒロクリニック 理事長 医師 岡 浩子

自己紹介

日々の診療で多くの患者さまと出会い、お一人おひとりの笑顔から私自身もたくさんの元気をいただいています。皆さまが健康で前向きに、自分らしく生き生きとした人生を歩んでいけるよう、医療の面から温かくサポートさせていただきます。

患者様とどのように接しているか

医療現場でもAIなどのテクノロジーが進化していますが、人と人とのふれあいから生まれる「安心感」や、患者さまが歩んできた人生の背景を理解することは、人間にしかできない大切な役割だと信じています。目の前の症状を治療するだけでなく、あなたの人生に寄り添い、ともに最善のゴールを目指すパートナーでありたいと考えています。

経歴

東京都新宿区出身。東邦大学医学部を卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。膠原病内科医として、約10年間にわたり大学病院での診療に従事。2008年、夫である岡 博史医師と共に埼玉県川口市にてヒロクリニックを開院。現在は皮膚科・形成外科・美容皮膚科・心療内科・内科・NIPT(新型出生前診断)などを擁する総合医療クリニックとして、運営に携わる。

好きな言葉

「To cure sometimes, to relieve often, to comfort always(時に癒やし、しばしば和らげ、常に慰める)」

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