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人生を楽しみ、好きなものを食べて、元気に過ごすこと(大西 哲郎)

自分が好きなこと、好きなものを

 私が糖尿病専門医として、健康で長生きの秘訣を食の観点から尋ねられたら、日頃患者さんにお伝えしていることは、「好きなことをやって、好きなもの食べて、元気で活き活き過ごすこと」です。これが実は自分自身にとっても一番の健康法なのではないかと思っております。人生を楽しみ、心身共に元気であること、代謝機能が活発であること、よく動き、人と会い、人と話し、美味しく食べること。

先生の元気に活き活きと過ごす秘訣:サーフィン

 私は糖尿病専門医ですので、日々患者さんに、あれは食べてはダメです、これもダメですとお伝えするのはとても辛いです。本当は、患者さんにも、好きな方々と好きなところに行き、好きなものを自由に食べて欲しいと思っているからです。

 但し、糖尿病は自覚症状がないので、いつの間にか進行して、重症になってしまうこともあります。だから、食べ過ぎ、飲み過ぎには十分に注意した上で、これから先の未来に向かって、どのように生きたいのか誰とどんな風に過ごしたいのか、沢山思い描くことも大切だと思っています。

 ある患者さんがお友達と話した際、その友人は寝たきりにはなりたくないし、健康で長生きしたいから、我慢して休肝日を作っていると言われたそうです。患者さんご自身は、全く我慢せず毎日飲んでいたので、それを機会に自分も休肝日を作って我慢しようと思ったそうです。適度に我慢して、その上で好きなことをして、好きなものが食べられるのがいいですね。

噛むこと

 また食べるという動作の中でも、「噛むこと」は身体にとって重要な動作です。噛む力が弱くなると、食物繊維が多くて歯応えのある食品を食べにくくなります。逆に、軟らかいごはんやパン、麺など炭水化物の摂取量が増えるので、肥満、血糖値の上昇につながります。

代謝機能を活発に

 糖尿病になると、医者から体重を減らすように、食べ物に気をつけるようにと言われます。そういう意味では、心身共に良好でないとあまねく人生を楽しめません。年齢とともに代謝がおとろえるので、元気に動いて代謝を良くすること。動くこととは、筋トレ、ストレッチ、有酸素運動など身体を動かすことです。できる範囲で身体を動かすことで、代謝が活発になります。

 代謝を活発にするには、脳に刺激を与えることも必要です。基礎代謝のうち骨格筋、肝臓、脳がそれぞれ約20%を占めると言われています。

コミュニケーションは脳の代謝を活発に

 人とたくさん話し、たくさん感情表現するコミュニケーションが、脳の代謝を活発にします。職場やご家族、ご近所や地域のコミュニティ、習い事のお仲間等々と積極的に関わることがより脳への刺激を豊かにします。社会とつながり、人とコミュニケーションすることは、脳を大いに刺激します。たとえ何気ない会話であっても、「言葉を理解する」「相手を思いやる」「時間に気をつかう」「相手の表情を読みとる」「声の抑揚を感じとる」など、脳の多くの部分はフル回転します。そうした効果があるコミュニケーションは、会話の中身より「毎日継続する」ことが大切になるため、1日1回は誰かと話すように心がけましょう。

 特に、前頭前野が発達する思春期の子供の場合、この時期での対面してのコミュニケーションは、脳の発達にとても大切な要素になります。成人においても、昨今のコロナ禍のように外出の機会が減ると、人とのコミュニケーション不足や運動不足によって認知機能が低下しがちです。社交的であると認知症リスクが下がるという報告もたくさんありますので、こんなときこそ、感染対策に気をつけつつ会話を心がけましょう。

 医師として患者さんには、気持ちが前向きになる目標を持って、日々を過ごしていただきたいと思っています。例えば、お正月やお盆にやって来る、お孫さんと遊ぶためには、日頃は意識して腹八分目にしよう。彼らの結婚式に出るために、しっかりお薬を飲もう。その上で、美味しいものを美味しく頂く、それが一番の健康法なのではないかと私は思っています。

筆者

小林病院 内科
医学博士 大西 哲郎

自己紹介

 1970年北海道函館市生まれです。大学卒業後は北海道の大学病院で多忙を極めながら働いていました。目の前の患者さんと向き合う暇もなく殺伐と感じていた中35歳のとき一念発起して家族揃って上京し、そこで糖尿病診療に出会いました。大学病院、千葉県や埼玉県の市中病院で研鑽を積み、2022年から小田原市の小林病院で糖尿病専門医を務めております。

 小田原は海あり、山あり、お城ありの素晴らしい環境があります。仕事の傍ら、サーフィン、登山、歴史巡りなど好きなことをして人生を楽しんでおります。かまぼこ、日本酒、魚、野菜など美味しいものがたくさんあります。

患者様とどのように接しているか

糖尿病治療に関しては、日々の診療で個別のお話しをさせていただき、糖尿病教室では総論的なことをお伝えしています。診療中は皆様の仕事や生活、地域のお話を伺うのを楽しみにしています。

経歴

1995年 札幌医科大学医学部卒業
    札幌医科大学第三内科入局
1997年 市立函館病院
1998年 函館五稜郭病院
1999年 札幌医科大学第三内科
2004年 伊達赤十字病院
2005年 九段クリニック
2007年 日本医科大学老年内科
2011年 塩田病院
2022年 小林病院

好きな言葉

Slow but steady wins the race.

ミールタイム パワーアップ食の活用方法

たんぱく質を継続して摂れるのが良いと思います。