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骨を強くする“食べ方”入門── 一生歩ける体を目指して(武内 晋司郎)

私のおすすめ健康法〜健康で長生きの秘訣〜

「先生、もう手術しかないと言われました」
私のクリニックには、そんな言葉を口にされる患者様が毎日のように訪れます。整形外科医として長年、多くの患者様と向き合ってきた中で、私が確信していることがあります。
それは、「動ける体を維持すること」こそが、健康で長生きする最大の秘訣だということです。
人生100年時代と言われる今、ただ長く生きるだけでなく、最期まで自分の足で歩き、思うままに動ける体を保つことが何より大切です。そして、その土台となるのが「骨と関節の健康」なのです。

骨と関節を守る食事の基本

私が患者様に必ずお伝えしているのは、骨と関節の健康は毎日の食事から作られるということです。特に重要なのが次の3つの栄養素です。

カルシウムは骨の主要な構成成分です。牛乳やヨーグルトなどの乳製品、小魚、豆腐、小松菜などに豊富に含まれています。成人では1日650〜800mgの摂取が推奨されていますが、多くの方が不足しがちです。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素です。鮭やさんま、きのこ、卵に多く含まれます。また、1日15分程度の日光浴も体内でのビタミンD生成を促します。

たんぱく質は筋肉や骨の材料となります。肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく摂取することで、骨の強度を保ち、筋肉量を維持できます。

実践!私が続けている食習慣

私自身、学生時代は柔道、その後ラグビーに打ち込んできました。スポーツによる怪我も数多く経験し、体のメンテナンスの重要性を身をもって実感しています。
毎朝、必ず小魚や納豆、豆腐などを含む和食を中心とした朝食を心掛けています。昼食では、鮭や青魚を積極的に選び、野菜もたっぷり摂るよう心がけています。夕食は、鶏肉や豚肉などの良質なたんぱく質と、ほうれん草や小松菜などの緑黄色野菜を必ず組み合わせます。
また、間食にはヨーグルトやチーズ、ナッツ類を選ぶようにしています。これらの食品は、骨の健康を支えるだけでなく、満足感も得られるため、無理なく続けられます。

避けたいNG習慣

一方で、骨と関節を弱くする習慣もあります。塩分の摂りすぎはカルシウムの排泄を促し、アルコールの飲みすぎは骨を作る細胞の働きを阻害します。喫煙も骨密度の低下につながります。また、極端なダイエットや偏った食生活は、必要な栄養素が不足し、骨粗鬆症のリスクを高めてしまいます。

食事と運動、そして再生医療

私は「食事7割、運動3割」と患者様にお伝えしています。どんなに良い運動習慣があっても、栄養が不足していては骨も関節も守れません。逆に、どんなに栄養を摂っても、体を動かさなければ筋肉は衰え、骨密度も低下してしまいます。
さらに、近年の再生医療の進歩により、これまで「手術しかない」と言われていた変形性関節症などの疾患にも、新たな治療選択肢が生まれています。しかし、どんな最先端の治療を受けても、その効果を最大限に引き出すためには、日々の食事と運動による土台作りが不可欠なのです。

今日からできること

「健康のために何か始めたい」と思ったら、まずは朝食に小魚や納豆を加えることから始めてみてください。そして、毎日15分でも良いので、日光を浴びながら散歩をする習慣をつけましょう。
骨と関節の健康は一日にして成らず、毎日の積み重ねが5年後、10年後の「動ける体」を作ります。いつまでも思うままに動ける人生を送るために、今日から食事を見直してみませんか。

筆者

シンセルクリニック 総院長 武内 晋司郎

自己紹介

初めまして、シンセルクリニック総院長の武内晋司郎と申します。
三重大学医学部を卒業後、済生会中津病院、淀川キリスト教病院をはじめとする複数の医療機関で整形外科医としての経験を積みました。学生時代は柔道、その後はラグビーに打ち込み、スポーツによる怪我や体の痛みを数多く経験してきました。

患者様とどのように接しているか

私のクリニックでは、完全予約制を採用し、お一人お一人の患者様に約1時間をかけて丁寧な診察を行っています。
患者様が診察室に入られたら、まず「今日はどんなことでお困りですか」とお声がけし、じっくりとお話を伺います。痛みの場所や程度はもちろん、日常生活でどんな動作がしづらいのか、どんな不安を抱えておられるのかを詳しくお聞きします。
診察では、画像検査の結果だけでなく、患者様の生活スタイル、食習慣、運動習慣なども含めて総合的に評価します。
「先生に出会えて良かった」「また歩けるようになりました」という患者様の笑顔が、私の何よりの喜びです。

経歴

学歴
・三重大学医学部 卒業

職歴
・済生会中津病院 整形外科
・淀川キリスト教病院 整形外科
・和泉市立総合医療センター 整形外科
・守口生野記念病院 整形外科
・南港病院 整形外科

現職
・シンセルクリニック 総院長(2023年10月開業)
・再生医療専門医として、自己脂肪由来幹細胞治療、PRP療法などの最新再生医療を提供

著書
・『「もう手術しかない」と言われたあなたへ』 (Amazon電子書籍「医学一般」「整形外科」「臨床外科」部門 第1位獲得)

専門分野
スポーツ整形外科
整形外科一般
再生医療(幹細胞治療、PRP療法)
変形性関節症(膝・股関節・肩)

好きな言葉

「思うままに動ける人生を」
これは私の診療理念そのものです。
人間は本来、自由に動き、活動することで喜びを感じる生き物です。しかし、加齢や怪我、病気によってその自由が奪われていく様子を、整形外科医として数多く見てきました。
「孫と一緒に公園で遊びたい」「旅行に行きたい」「趣味のゴルフを続けたい」そんな患者様の願いを叶えるために、私は日々診療に取り組んでいます。
思うままに動ける体があれば、人生はもっと豊かになります。何歳になっても、自分の足で歩き、自分の手で物を持ち、自分の力で人生を楽しむ。そんな当たり前のようで、かけがえのない日々を、一人でも多くの患者様に取り戻していただきたいと願っています。

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骨と筋肉を守る栄養バランスで、何歳でも動ける体づくりを応援します。