骨粗鬆症を防ぐ食事と運動―いつまでも自分の足で歩くために(松繁 治)
整形外科医として日々診療をしていると、骨折をきっかけに生活が大きく変わってしまう患者さんを少なからず経験します。特に高齢者の大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折は、それまで元気に生活していた方が、歩くことや外出することが難しくなるきっかけにもなります。
こうした骨折の背景にある代表的な病気が「骨粗鬆症」です。
骨粗鬆症は、骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気です。年齢とともに増加し、特に女性では閉経後に女性ホルモンが減少することで骨量が低下しやすくなります。
骨粗鬆症を予防し、いつまでも自分の足で歩くためには、毎日の「食事」と「運動」が大切です。
骨をつくる基本はカルシウム
骨の健康を考えるうえで、まず意識したい栄養素がカルシウムです。
カルシウムは牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、緑黄色野菜などに含まれています。
大切なのは、一つの食品から大量に摂ろうとするのではなく、毎日の食事の中で継続して摂ることです。例えば「朝食に牛乳やヨーグルトを加える」「夕食に豆腐を一品加える」など、続けやすい方法から始めるとよいでしょう。

カルシウムだけ摂ればよいわけではありません
骨を丈夫にするには、カルシウム以外の栄養素も必要です。
特に重要なのがビタミンDです。ビタミンDには腸管からのカルシウム吸収を促す働きがあります。魚類やキノコ類、卵などに含まれるほか、日光を浴びることで皮膚でもつくられます。
また、骨というとカルシウムばかりに目が向きがちですが、たんぱく質も重要です。骨はカルシウムだけでできているわけではなく、コラーゲンなどのたんぱく質が骨の土台をつくっています。
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを組み合わせ、特定の栄養素だけではなく、バランスのよい食事を心がけることが大切です。
骨と一緒に「筋肉」を守る
整形外科医として、もう一つぜひ意識していただきたいのが筋肉です。
骨が弱くても転倒しなければ防げる骨折があります。反対に、筋力やバランス能力が低下して転倒が増えると、骨粗鬆症の方では骨折につながる危険性が高くなります。
特に高齢になると、筋肉量や筋力が低下する「サルコペニア」が問題になります。その予防には、十分なたんぱく質を摂るとともに、身体を動かすことが重要です。
ウォーキングなどの有酸素運動に加え、無理のない範囲でスクワットなどの筋力トレーニングを取り入れるとよいでしょう。
食事で筋肉の材料を摂り、運動で筋肉と骨に刺激を与える。この二つを組み合わせることが、将来の転倒や骨折を防ぐために大切です。
注意したい食生活
一方で、骨の健康のためには避けたい食習慣もあります。
塩分を過剰に摂ると尿中へのカルシウム排泄が増えるため、濃い味付けや加工食品に偏った食生活には注意しましょう。過度の飲酒も骨の健康に悪影響を与える可能性があります。
また、若い世代では過度なダイエットにも注意が必要です。十分なエネルギーやたんぱく質、カルシウムなどを摂れない状態が続くことは、将来の骨の健康にも影響します。
今日の食事と運動が、将来の「歩ける身体」をつくる
骨粗鬆症予防に、「これだけ食べれば大丈夫」という特別な食品はありません。
カルシウム、ビタミンD、たんぱく質などをバランスよく摂り、適度な運動を続けることが基本です。
「朝食に乳製品を一品加える」「魚を食べる回数を増やす」「毎日少し歩く」。まずはその程度でも構いません。
骨と筋肉は、私たちが立ち、歩き、好きな場所へ出かけるための土台です。毎日の小さな習慣を積み重ねて、いつまでも自分の足で歩ける身体を目指しましょう。
筆者

自己紹介
整形外科医として、主に脊椎疾患の診療や手術に携わっています。骨や筋肉の健康は、いつまでも自分の足で歩き、自分らしい生活を続けるための大切な土台です。治療だけでなく、食事や運動を含めた日々の生活にも目を向けながら、患者さんの健康を支えていきたいと考えています。
患者様とどのように接しているか
病気や画像だけを見るのではなく、まず患者さんのお話をよく聞くことを大切にしています。同じ病気でも、生活環境や仕事、趣味、治療に求めることは一人ひとり違います。その方が「どのような生活を送りたいのか」を一緒に考えながら、できるだけ分かりやすい説明と、その方に合った治療を心がけています。
経歴
岡山大学卒業。埼玉の病院で初期研修。東京・神奈川の病院で研鑽を積み、現在は千葉県内の病院に勤務しています。脊椎疾患を専門とし、外来診療から手術治療まで幅広く担当しています。特に、身体への負担をできるだけ抑えた内視鏡を用いる低侵襲脊椎手術に力を入れています。
好きな言葉
「学んだことを、誰かのために生かす」
医学は日々進歩しています。新しく学んだ知識や技術を自分の中だけに留めず、患者さんのより良い生活につなげていきたいと考えています。
ミールタイム パワーアップ食の活用方法
整形外科医として高齢の患者さんを診療していると、骨だけでなく筋肉を維持することの大切さを実感します。筋力が低下すると転倒しやすくなり、骨粗鬆症のある方では転倒が骨折につながることもあります。
筋肉を維持するためには、適度な運動とともに十分なたんぱく質を摂ることが大切です。一方で、毎食栄養バランスを考えて食事を準備することは、なかなか大変です。
「ミールタイム パワーアップ食」は1食で22g以上のたんぱく質を摂ることができるため、料理をするのが大変な日や、普段の食事でたんぱく質が不足しがちな方などが、日々の食事に上手に取り入れるのもよいと思います。
食事と運動の両面から骨と筋肉を守り、いつまでも自分の足で歩ける身体を維持していきましょう。













